日本の国籍を持たない外国人が日本の国籍を取ることを「帰化(きか)」と言います。
帰化は、許可が必要で、申請をしなければなりません。
帰化許可の申請をしたい場合、許可の要件(条件)に当てはまることがとても大切です。
要件(条件)に当てはまらないと、
不許可(申請しても許可が下りない)
または
不受理(申請書を窓口に持って行っても受付してもらえない)
になってしまうからです。
要件(条件)は、いくつかありますが、このページでは、「住所条件」について詳しくお伝えします。
帰化の条件について
国籍法第5条に、帰化許可の条件が書かれています。
第5条1号から6号(=6個の文章)があります。
この6個の文章は最低限の条件です。
6個の条件に当てはまる人でも、必ず許可が下りるとは言えません。
その6個の最低限の条件の中に「住所条件」が書かれています。
国籍法
第五条 法務大臣は、次の条件を備える外国人でなければ、その帰化を許可することができない。
一 引き続き五年以上日本に住所を有すること。
(以下 略)
(e-Gov法令検索より引用)
「引き続き」5年以上
「引き続き」とは、「ずっと続けて」という意味です。
帰化許可の条件は、「引き続き5年以上日本に住んでいること」とされています。
5年以上、他の国に住むことなく、ずっと日本に住み続けていることが、帰化の条件です。
例
1年1月から日本に住み始めました。
6年2月現在ずっと日本に住み続けています。
→→ 「引き続き5年以上日本に住んでいること」に該当します。
例
1年1月から日本に住み始めました。
4年1月から4か月間、外国で生活しました。
4年5月から日本に戻り住んでいます。
6年6月現在、帰化許可の申請ができますか?
→→ 1年1月から5年以上経っていますが、途中4か月間、外国で生活しました。
そのため、「引き続き5年以上日本に住んでいること」に該当しないと考えられます。
この例では、帰化許可の「住所条件」を満たしていないため、申請できないと考えた方が良いです。
帰化の申請を希望するのであれば、長期の出国に注意した方が良いと思います。
日本に住んでいたことの確認
帰化許可の申請時、法務局では、パスポートを見て、出入国の履歴を確認します。
長期間、外国に行った方は、注意してください。
例えば、仕事の出張だったり、外国に住む家族が病気だったりして、事情があって外国に行ったのかもしれません。
けれども、理由が何であっても、数か月の間、日本から出国していた場合は、住所条件に当てはまらないと考えてください。
在留資格を持った滞在でしたか?
引き続き5年以上日本に住んでいる、という条件に当てはまる方へ。
日本に住み始めたときから現在まで、在留資格が途切れることはなかったでしょうか?
在留期限が来る前に在留資格の更新手続きを行い、オーバーステイ(不法滞在)がない状態で、引き続き5年以上日本に住んでいたならば、帰化許可の住所条件はクリアできたと思われます。
住所条件がクリアできなかった場合 ~やること2つ~
帰化したいけれども、「引き続き5年以上」日本に住むことができていない方へ。
将来、帰化の申請をしたいのであれば、以下の2つを行ってはいかがでしょうか。
やることは2つ
1,「引き続き5年以上」になるまで帰化の申請を待って、日本に住み続ける。
2,在留資格が期限切れにならないよう、更新手続きを確実に行う。
最近の入国はいつですか?
最近の入国日から5年以上日本に住み続けることは可能でしょうか?
可能であれば、5年以上になるのを待ちましょう。
特別な方(日本人の配偶者など)は、条件がゆるやかになる場合があります。
特別な方については、別のページで説明したいと思います。
その間に在留期限が来るときには、在留資格の更新手続きを忘れずに確実に行ってください。
もう一つおススメの「やること」
そして、5年以上になるのを待つ方は、待っている間に日本語の勉強をしておくと良いと思います。
国籍法の条文(文章)には書いてありませんが、帰化の申請において、日本語の能力も必要です。
日本語の検定試験では、N3~N2を目指して勉強されることをおすすめいたします。
N2を目指して勉強して、もしもN2が取得できなかったとしても、日本語の勉強によって日本語の理解が深まるでしょう。
日本語の理解が深まると、日本語の会話が上手になると思います。
上手な会話ができると、帰化許可申請のときに役立つと思います。
窓口で上手に会話ができれば、帰化の申請がスムーズになるでしょう。
このように日本語の勉強をするメリットはあると思います。
住所条件がクリアされるのを待つならば、待つ間に、ぜひ日本語の勉強をしてみてください。
おわりに
帰化の条件は、住所条件だけではありません。
犯罪行為を行わない、税金をきちんと納めるなど、他の条件をクリアすることも必要です。
本記事は、「住所の条件」だけをお伝えしました。
住所の条件と、他の条件も理解してから、帰化の申請を検討していただければと思います。
帰化許可の申請について相談したい方は、ぜひ、筆者の行政書士事務所までご連絡ください。
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